社労士と行政書士の試験って、似てるイメージだけど…?
同じ法律系の資格ですね。
違いを見てみましょう。
社労士も行政書士も国家資格。
取得することでたくさんのメリットがあります。
2つの資格試験の特徴や違いを知って、受験の参考にしていきましょう。
この記事で解決できるお悩みはこちら↓
- 社労士と行政書士の違いは?
- どちらの試験が難しい?
- 2つの違いや特徴を教えてほしい。
社労士試験と行政書士試験を比較することで、その特徴を知り、ぜひ興味を持ってください。
記事の監修は、第2子出産後、赤ちゃんを育てながら試験合格。
スキマ時間を活用するゆいです。
それではどうぞ!
社会保険労務士と行政書士の違い
社労士も行政書士も、同じ法律系の資格です。
扱っているカテゴリーが違うことから、別々の資格として分けられています。
まずは2つの仕事内容について、見ていきましょう。
社会保険労務士の仕事内容
① 書類等の作成代行
② 書類等の提出代行
③ 個別労働関係紛争の解決手続きの代理
④ 労務管理や労働・社会保険に関する相談等
簡単に言うと、社労士は『社会保険と労務に関するプロ』です。
雇用保険や労災保険、医療保険や年金などの書類を作成し、行政機関に提出する業務があります。
また、就業規則や賃金規定の作成、労務関係の相談・指導・アドバイスなども行います。
申請書類の作成・提出業務や、帳簿書類の作成業務は、社労士の独占業務であり、有資格者でなければできません。
独占業務があるのは、資格取得の大きなメリットです。
独占業務って、いい響き…。
行政書士の仕事内容
① 書類作成業務
② 許認可申請の代理
③ 相談業務
社労士と一緒…?
業務は似ていますが、扱っている分野が違います。
簡単に言うと、行政書士は『生活とビジネスのプロ』です。
遺言・相続、成年後見、自動車登録関連、契約書、土地活用などの生活に関連した分野。
法人関連手続、知的財産権の保護、中小企業支援などのビジネスに関連した分野。
それぞれの書類作成や相談業務を担っているのが、行政書士です。
扱っている書類は1万点以上。
他の士業と比べて業務が身近であるため、『街の法律家』と呼ばれることも。
行政書士にも独占業務があり、業務内容も多岐にわたるので、資格取得の価値は十分にあります。
社労士試験と行政書士試験の違い
では次に、両者の試験について、比較してみましょう。
比較項目 | 社労士試験 | 行政書士試験 |
---|---|---|
合格率(2023年) | 6.4% | 13.98% |
受験資格 | あり | なし |
受験会場 | 会場がない都道府県あり | 全都道府県にある |
受験日 | 8月の第4日曜日 | 11月の第2日曜日 |
試験時間 | 午前80分・午後210分 | 午後180分 |
試験科目数 | 10科目 | 9科目 |
試験方式 | マークシートのみ | マークシート+記述式 |
合否判定基準 | 相対評価 | 絶対評価 |
受験者属性 | 30代が1番多い | 40代が1番多い |
社労士試験と行政書士試験は似ているようで、これだけ違います。
では、1つ1つ見ていきましょう。
合格率
最初に、合格率を比較してみましょう。
実施年度 | 社労士試験 | 行政書士試験 |
---|---|---|
2019年度 | 6.6% | 11.48% |
2020年度 | 6.4% | 10.72% |
2021年度 | 7.9% | 11.18% |
2022年度 | 5.3% | 12.13% |
2023年度 | 6.4% | 13.98% |
一般財団法人 行政書士試験研究センター
例年、社労士試験は5〜7%、行政書士試験は10〜13%で推移しています。
受験者は、社労士試験は4万人前後、行政書士試験は4万5千人前後となっており、行政書士試験の方が多いです。
行政書士試験は、法律系資格の登竜門とされており、まずはこの試験から受けてみる方もいます。
合格率からわかるように、難易度は社労士試験より、行政書士試験の方が低いです。
低いと言っても、10%ほどの合格率なので、他の資格よりずっと難しいです。
例えば、民間資格のファイナンシャルプランナー3級。
合格率は学科・実技ともに毎回80%超えがほとんどです。
簿記は3級なら30%~50%
2級なら20%ほどの合格率です。
思ったより難易度が高い…?
社労士や行政書士の試験はこれより難しく、勉強時間も長く必要です。
2つそれぞれの資格取得までの勉強時間の目安はこちら↓
社労士 :800~1000時間
行政書士:600~800時間
合格するまでに、上記の勉強時間は確保したいところです。
勉強期間は、両者ともに1年は欲しいところです。
受験資格
国家試験には、受験資格を設けているものが多数あります。
社労士試験は、学歴や実務経験、他の国家試験合格など、何か1つなければ受験できません。
一方、行政書士試験は、受験資格を設けていません。
つまり誰でも受験できるということです。
国家試験で誰でも受験可能なのは、珍しいです。
また、社労士試験は高卒というだけでは受験資格がありません。
しかし、行政書士試験に合格していれば、受験できます。
行政書士の方が門戸が広いですね。
ちなみに弁護士資格を持てば、社労士や行政書士の試験に合格してなくても、登録できます。
弁護士以外にも弁理士・公認会計士・税理士の資格を取得すれば、行政書士は試験合格を求められません。
受験会場
受験会場が自分の住んでいる県内にあると楽です。
社労士試験は、全ての都道府県で実施されているわけではありません。
そのため、試験前日にホテルを取るなどして、前泊しなければならないこともあります。
一方、行政書士試験は、全都道府県に会場があるため、前泊などの心配はなさそうです。
こちらの方が受験しやすい環境だと言えますね。
隣の県まで行くのはイヤだー!
・・・
大切な試験前日が移動日になるかならないかは、勉強スケジュールや当日の体調管理にも影響します。
事前に受験会場が近くにあるか、確認しておくと良いですね。
受験日・試験時間
それぞれの受験日はこちら↓
社労士試験 :8月の第4日曜日
行政書士試験:11月の第2日曜日
社労士試験は、夏の暑い時期。
直前にお盆休みがあるので、試験勉強がしやすいです。
ただ、子どもは夏休みなので、勉強時間が取れないご家庭も。
行政書士試験は、秋の過ごしやすい時期。
直前にまとまった休みはないかもしれませんが、気候の良いときなので、暑さや冷房で冷える心配などしなくても良さそうです。
当日のスケジュールはこちら↓
【社労士試験】
選択式:10:30〜11:50(80分)
択一式:13:20〜16:50(210分)
【行政書士試験】
13:00〜16:00(180分)
行政書士試験の方が短いです。
社労士試験は1日がかりで、試験時間も長いので、体力や集中力が必要です。
行政書士試験は午後だけなんだね!
また、試験前に説明や注意事項があるので、試験開始の30〜40分前には教室に着席していないといけません。
トイレに行ける時間や、退室可能時間の決まりもあるので、こちらも事前確認が必要です。
試験科目・試験方式
社労士試験は10科目、行政書士試験は9つの内容で構成されています。
詳細はこちら↓
社労士試験 | 行政書士試験 |
---|---|
労働基準法 | 基礎法学 |
労働安全衛生法 | 憲法 |
労働者災害補償保険法 | 民法 |
雇用保険法 | 行政法 |
徴収法 | 商法・会社法 |
労働に関する一般常識 | 一般知識 |
健康保険法 | 業務に関連する諸法令 |
国民年金法 | 情報通信・個人情報保護 |
厚生年金保険法 | 文章理解 |
社会保険に関する一般常識 |
どちらも興味深い内容がそろってますね。
とっつきやすいのは行政書士試験の科目かもしれません。
憲法、民法おもしろそう!
行政書士試験では、基礎法学、憲法、民法、行政法、商法・会社法の5つを法令等科目といいます。
残りの一般知識、業務に関する諸法令、情報通信・個人情報保護、文章理解の4つを基礎知識科目といいます。
社労士試験も行政書士試験も、しっかり勉強した方がいい科目と、広く浅く時間をかけすぎずに勉強した方がいい科目があります。
また、試験方式は以下のようになっています。
社労士試験 :マークシートのみ
行政書士試験:マークシート+記述式
社労士試験はすべてマークシート形式なので、対策が楽です。
一方、行政書士試験は記述式対策も必要なので、より深い理解が求められます。
試験方式で言えば、社労士試験の方が負担が少ないですね。
合否判定基準
社労士試験は相対評価、行政書士試験は絶対評価です。
簡単に言うと、
絶対評価は『100点中〇点以上取れば合格』と言った、わかりやすい基準です。
行政書士試験の合格基準は3つです。
- 法令等科目で122点以上(全体の50%以上)
- 基礎知識科目で24点以上(全体の40%以上)
- 全体で180点以上(全体の60%以上)
この条件をクリアすれば、他の受験生が何点であっても気にしなくていいです。
この仕組みは国家資格よりも民間資格に多いです。
また、絶対評価は合格者数が試験の難易度によって大きく変動するので、難しい年は合格率が下がる傾向にあります。
一方、相対評価は『〇点以上で合格』という基準が一応あるものの、『〇点以上』が年によって違います。
受験者の試験の出来具合によって変動するのです。
社労士試験の合格基準は2つです。
選択式試験:総得点40点中28点以上、かつ各科目5点中3点以上
択一式試験:総得点70点中49点以上、かつ各科目10点中4点以上
この条件をクリアすれば、合格できます。
しかし、実際はこれより低い点数で合格できることが多いです。
『受験者の〇%以上が〇点以下』だった場合、この合格基準点が下がるからです。
そのため合格発表まで、合格ラインはハッキリしません。
ただ、上記のような調整が入るので、合格率は年度によってそこまで変動することはありません。
国家資格はこの相対評価を採用しているものが多いです。
最初の合格基準点を高めに設定しておいて、試験後に調整するイメージです。
こうすることで、合格者数をコントロールすることができ、国家資格の価値を保ちやすいからだと思われます。
社労士試験は最初の基準点が高いので、調整されても合格率は低いです。
資格試験は絶対評価より、相対評価の方が難易度が高いです。
相対評価は自分の成績だけでなく、他の受験生の成績が合否に影響します。
そういった意味でも、社労士試験は行政書士試験よりも難しい試験だと言えます。
受検者属性
社労士試験は30代、行政書士試験は40代の受験生が1番多いのですが、実はそこまで大きな差はありません。
どちらの資格試験も、働きながら受験勉強をする社会人が多いのです。
社労士も行政書士も、働きながら取得できる資格です。
税理士試験は、20代が最も多いです。
大学の頃から勉強して、試験に挑むイメージです。
それに比べると年齢層が高いです。
それは社労士や行政書士が、難易度は税理士より低いけれど、転職で使える資格だからでしょう。
どちらも資格があれば、独立開業することができます。また社労士は独立だけでなく、勤務社労士として、社内で社労士の資格を活用しながら働くスタイルも可能です。
そのため、社内でのステップアップのために受験する人もいます。
働きながら受験勉強するのは大変ですが、社労士や行政書士試験は、それでも合格している人がたくさんいます。
社会人になってからでも、方向転換できる、人生を変えられる資格だと思います。
是非チャレンジしてみて下さい。
今からでもがんばってみようかな!
まとめ
最後に、今回ご紹介した内容のおさらいをしましょう。
【社労士と行政書士の違い】
【社労士の仕事内容】
① 書類等の作成代行
② 書類等の提出代行
③ 個別労働関係紛争の解決手続きの代理
④ 労務管理や労働・社会保険に関する相談等
【行政書士の仕事内容】
① 書類作成業務
② 許認可申請の代理
③ 相談業務
社労士は『社会保険と労務に関するプロ』
行政書士は『生活とビジネスのプロ』
合格率 :社労士の方が低い
試験時間:社労士の方が長い
試験科目:社労士の方が多い
試験方式:行政書士には記述式あり
判定基準:社労士は相対評価
総合的に考えると、社労士の方が難易度は高い。
受験資格:行政書士なし
受験会場:行政書士は全国に会場あり
受験日 :社労士は8月、行政書士は11月
上記より、行政書士試験の方が、受験しやすい。
受験者属性:2つともほぼ同じ
30代~50代を中心に働きながら勉強している人が多い。
人生の半ばに入ってからでも、未来を変えられる資格試験。
社労士も行政書士も国家資格であり、就職や転職にも使える資格です。
今の環境を変えたいのであれば、ぜひチャレンジしてみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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